大相撲夏場所で最後まで横綱、照ノ富士との優勝争いに加わり場所を盛り上げた関脇「霧馬山」が、夏場所後に大関昇進を果たしました。
そして、大関昇進と共に四股名を「霧島(きりしま)」と改め、新たなスタートを切りました。
今回は、大関昇進を果たした霧馬山改め、霧島関の伝達式の口上や横綱昇進の可能性について紹介していきます!
最後まで楽しんでいってください!
新大関『霧島』のプロフィール!
霧馬山 鐵雄 – 力士プロフィール – 日本相撲協会公式サイト (sumo.or.jp)
名前:霧島鐵力(きりしま・てつお) 旧四股名:霧馬山(きりばやま)
生年月日:1996年(平成8年)4月24日
出身地:モンゴル・ドルノド県
身長:186cm
体重:143kg
血液型:O型
趣味:絵を描くこと、ゲーム
所属部屋:陸奥部屋
得意技:左四つ・寄り・投げ
生い立ちから大相撲入門まで
モンゴル国・ドルノド県で羊を飼育する遊牧民の父の下に生まれました。
幼少期から父親の仕事の手伝いで、馬に乗って1000頭の羊を追いかけたりするなど、長距離の乗馬を行っていたことで、自然と足腰が鍛えられていました。
霧島関に転機が訪れたのが2014年に、知人から日本で力士になるテストに誘われ興味本位で来日したことが、大相撲に入門するきっかけでした。
モンゴル出身力士のほとんどが、モンゴルの国技「モンゴル相撲」を経験していますが、霧島関は柔道経験こそあったものの、日本の相撲もモンゴル相撲も経験がありませんでした。
当時陸奥部屋のテストを受けたのは霧島関を含めて5人でしたが、後の師匠となる陸奥親方は、「5人の中で(霧島関)が一番センスがあった」と高く評価していました。
しかし、言葉の通じない外国出身者とのコミュニケーションに課題があると思っていた陸奥親方は、当初テストを受けた5人を弟子に取ることに消極的でした。
ただ、陸奥部屋の後援者からの依頼もあり、霧島関を含む5人を部屋に体験入門させました。
体験入門から1ヶ月が経った時、霧島関が「親孝行がしたい、日本に両親を呼びたい」と述べている霧島関を、陸奥親方は弟子として受け入れることを決めました。
ただ、「私の言うことを聞かなければ辞めてもらう」と、厳しい態度で受け入れられました。
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初土俵から十両昇進まで
2015年2月、新弟子検査に合格し、四股名「霧馬山」で、2015年夏場所で初土俵を踏みました。
霧島関の入門後の稽古を見ていた陸奥親方は、改めて「黙っていても幕内、三役までいく」と、素質を見抜き確信していました。
学生や社会人で優秀な成績を残して角界入りすると「幕下付け出し格」や「三段目付出し格」などの制度によって優遇されますが、霧島関は相撲未経験で大相撲に飛び込んだので、通常通り「前相撲から初土俵を踏む」ことになりました。
しかし、やはり陸奥親方が太鼓判を押した相撲のセンスはずば抜けており、序ノ口と序二段をたった1場所で通過。
三段目に上がった2015年九州場所では7戦全勝で三段目優勝を果たし、2016年からは幕下で相撲を取ることになりました。
ところが、2016年夏場所後の稽古中に「左膝内側側副靱帯部分断裂」の重傷を負い、次の名古屋場所は初めて休場し三段目に下がりました。
しかし、休場後の秋場所で復帰し、こちらも僅か1場所で幕下に戻り、以降幕下に定着しました。
霧島関が負った左膝内側側副靱帯部分断裂は、通常なら力士生命に関わるほどの大怪我ですが、陸奥部屋の後援会会長によると、「専門の医師が驚くほどの治癒能力で、日本人の3倍はあるかと言われ、回復が早い」と述べていました。
幼少期に馬に乗って数多くの羊を追いかけて足腰が鍛えられたことが、活かされていたのではないでしょうか。
アクシデントもありましたが、初めて幕下に上がってから3年後の2019年初場所で西幕下筆頭で勝ち越し、場所後に十両昇進を果たしました。
入門時に師匠から「関取になるまでモンゴルに帰るな」と命じられていましたが、初土俵から約4年でその約束を果たしました。
十両~幕内、三役まで
平成最後の本場所となった2019年春場所が新十両となった霧島関は、この年は十両で相撲を取りました。
2019年九州場所までの5場所で負け越したのが秋場所の僅か1場所だけと優秀な成績を収めていました。
そして、2020年初場所で新入幕を果たしました。
十両時代の2019年は、同じ時津風一門の井筒部屋から、当時横綱だった鶴竜(現:鶴竜親方)が移籍した時期でしたが、鶴竜関の移籍は、霧島関にとって大きく影響しました。
その大きな影響は、食事による稽古です。
入門当時、日本での食事に苦戦していた霧島関は、ビーフジャーキーなど硬い肉しか食べることが出来ず、魚や野菜などは一切手を付けず栄養が偏っていました。
こちらについては徐々に解消され体重も増え力も付けてきましたが、それでも、十両時代は丼飯山盛り2杯が限界でした。
私達素人から見れば丼飯山盛りと聞くだけで胃もたれしてしまうくらいですが、食べることも仕事なお相撲さんにとってこの量は少ない方です。
そこで鶴竜関から、「丼飯山盛り3杯」をノルマに課せられ、霧島関が全て食べ終わるまで鶴竜関が見守っていたとのことです。
その甲斐もあり、体重は従来よりも10kg増やすことに成功しました。
また、霧島関の故郷モンゴルでは、十両のテレビ中継は千秋楽のみで残りは結果だけ放送されますが、幕内は全ての取り組みが中継されるので、新入幕会見で霧島関は、「これから15日、毎日テレビで見られる」と、家族を思いやるコメントをしていました。
そして迎えた新入幕の場所では、中日まで4勝4敗の五分でしたが、9日目から全て勝って11勝4敗の好成績を収め、優勝争いに加わったことが評価され、自身初の三賞「敢闘賞」を受賞しました。
新入幕以降は一度も十両に下がることなく幕内に定着し、新入幕から約2年後の2021年九州場所で新三役に昇進しました。
悲願の初優勝!大関へ
三役に昇進してからの霧島関は、番付運などもあり小結と幕内上位の行き来を繰り返しており、小結で勝ち越しても中々関脇に上がることが出来ませんでした。
霧島関以外の三役陣が勝ち越した影響ですね。
しかし、そんな状況から遂に抜け出す時が来ました。
2023年初場所で、11勝4敗で初めて技能賞を受賞し、次の春場所で関脇に昇進することが決定しました。
新関脇として迎えた春場所は、14日まで優勝争いトップを走っていた大栄翔関を千秋楽で土俵際逆転で勝ち、12勝3敗で並んで優勝決定戦に持ち込みました。
そして優勝決定戦では、本割と同じように大栄翔関の猛攻を土俵際で突き落とし、逆転で初の幕内最高優勝を果たしました。
幼少期に鍛えた足腰の強さが、有鬚を懸けた大一番でも活かされたんですね。
この結果、小結だった初場所の11勝、春場所の12勝で、大関昇進の目安となる「三役で直前3場所で33勝」のノルマが射程圏内に入り、次の夏場所が「大関取り」の場所となりました。
迎えた夏場所では、二桁10勝以上すれば大関昇進の可能性が高いと注目されましたが、優勝した春場所同様に優勝争いに加わりました。
しかし、この場所は復帰した横綱、照ノ富士が好調で、14日目の直接対決で敗れてしまい、千秋楽を待たずに照ノ富士関の復活優勝を許してしまいました。
2場所連続優勝で大関昇進に華を添えられなかった霧島関ですが、夏場所も11勝4敗と好成績を収め、自身3度目の技能賞を受賞しました。
そして夏場所後の5月31日に行われた臨時理事会で霧島関の大関昇進が決定し、大関昇進を果たしました。
相撲の取り口
左四つを得意としており、幼少期に鍛えた強靭な足腰だけでなく、スタミナが強く、粘り強い相撲を取ることで知られています。
近年の大相撲では数秒で勝負が決まる取り組みが多いですが、霧島関の取り口は数十秒といった長い相撲になることが特徴で、取り組み時間が1分を超えることも珍しくありません。
大関昇進を決めた2023年夏場所の照ノ富士戦でも、1分を超える長い相撲となりました。
四つ相撲を得意とする力士なら互角に戦えますが、貴景勝関のように押し相撲が得意な力士とは相性が悪いです。
伝達式の口上と『霧島』へ改名!
大関昇進の伝達式では
大関の名を汚さぬよう今まで以上に稽古して頑張ります
と、シンプルな口上を述べました。
そして伝達式後の記者会見で、入門時から慣れ親しんだ「霧馬山」から「霧島」へ改名することを発表しました。
霧島は、師匠の陸奥親方が現役時代に名乗っていた四股名で、陸奥親方も大関まで駆け上がっていきました。
血縁関係は無く、異国の地からやってきた愛弟子に自分の四股名を継がせた師匠の男気が凄いです。
ただ、しばらくは四股名が霧馬山でしたが、6月3日に兄弟子の鶴竜親方の引退相撲の横綱土俵入りで太刀持ちを務め、この日から正式に「霧島」となりました。
新大関『霧島』横綱昇進の可能性は?
モンゴル出身力士としては6人目の大関となる霧島関ですが、横綱昇進は入門時からの大目標です!
力量としては大関どころか横綱に匹敵するので、霧島関が将来横綱になる可能性は十分あります。
加えて、これまでモンゴル出身力士で大関になった、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士の5人は後に、「全員横綱に昇進」しています。
近い将来「横綱霧島」が誕生する日が来るのかもしれないですね!
まとめ
今回は、大関に昇進した霧馬山改め霧島関について紹介していきました!
霧島関の今後の活躍に注目です!
最後までご覧になっていただきありがとうございました!
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