6月13日の参議院本会議で、改正刑法が可決・成立しました。
刑法が改正されるのは、刑法が制定された1907年(明治40年)以来初めてのことです。
改正された刑法では、「拘禁刑」という刑が新設され、これまで刑法の中で最も罪が軽かった「侮辱罪」が厳罰化されることになりました。
そこで今回は、刑法改正で新設された「拘禁刑」と、厳罰化された侮辱罪について解説していきます。
新設された『拘禁刑』ってなに?
拘禁刑は、これまで定められていた「懲役刑」と「禁固刑」を一本化した新しい刑制度です。
懲役や禁固ってよくテレビなどで耳にしますけど、どういう刑なのかイマイチ分からないですよね。
まずは、懲役刑と禁固刑について説明します。
懲役刑
懲役は、死刑に次いで2番目に重い罪ですが、出所後の社会復帰を目的に、裁縫や労働作業などの刑務作業を行います。
つまり、刑務所内で仕事をするのが懲役刑ということです。
懲役刑で服役する期間は犯した罪の重さによって変わってきますが、懲役刑の中で最も重いのが「無期懲役」です。
終身刑が無い日本では、無期懲役が事実上、死刑の次に重い刑となっています。
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禁錮刑
刑務作業を行う懲役刑とは違い、禁錮刑は拘束されるという意味なので、「何もせずじっとしている」ということです。
つまり、懲役刑は体を動かすのに対し、禁錮刑は大人しくしているという意味ですね。
例えば、裁判で禁錮3年を言い渡されたら、刑務所で3年間じっとしていなければいけません。
これはこれでキツイですね。
しかし刑の重さは、懲役より禁錮の方が軽いと言われています。
禁錮の方が重いような気がしますけどね。
拘禁刑の目的は?
今説明していった懲役刑と禁錮刑を合体させて一本化させたのが拘禁刑です。
拘禁刑が制定された背景ですが、禁錮刑の罪で服役していても、やはり一日中何もしないのは肉体的にも精神的にも辛く、自ら志願して懲役同様に刑務作業を行う受刑者が相次いでいることです。
なので、これだったら懲役と禁錮を区別せず一緒にしてしまおうという方向で議論されていたのかもしれませんね。
そして拘禁刑の最大の目的が、「受刑者の更正」です。
拘禁刑は、受刑者の特性に応じて刑務作業や再犯防止に向けた指導や教育プログラムなどが実施出来るようになるとのことです。
これまでのように、受刑者皆が同じ刑務作業を行うのではなく、その受刑者に合った作業や指導をしていくので、これからの刑務所は罪を犯した者を懲らしめるのでななく、職業訓練所や更生施設のような役割も担っていくのかもしれませんね。
厳罰化された侮辱罪
現在の侮辱罪は、「30日未満の拘留または、1万円未満の科料」のみで、全ての罪の中で最も軽い罪です。
しかし、インターネット上での誹謗中傷が社会問題となっている現在のご時世で取り締まるには、あまりにも軽すぎると指摘がありました。
2020年に当時テレビ番組に出演していたプロレスラーの木村花さんが、誹謗中傷が原因で自ら命を絶ち、23歳の若さでこの世を去った悲劇が、侮辱罪を厳罰化するきっかけとなりました。
改正された侮辱罪は、「1年以下の懲役・禁錮」または「30万円以下の罰金」と、罪の重さがパワーアップしています。
これからはネットやSNSで悪質な悪口を言うと、刑務所行きになる恐れがあります。
軽率な発言は、今もこれからも絶対に控えてください。
拘禁刑や厳罰された侮辱罪の施行日はいつ?
改正された刑法は、成立から4日後の6月17日に公布されました。
厳しくなった侮辱罪は、今年の夏にも施行を目指していますが、国会審議で野党から厳罰化が言論弾圧に繋がると強い懸念が示されていました。
このため、表現の自由に対する不当な制約になっていないか、「3年後に検証する付則が追加」されています。
また、拘禁刑についても、法務省は「3年後の施行」を目指していることから、拘禁刑も新しい侮辱罪も、遅くても「2025年(令和7年)」までに施行されるものと思われます。
まとめ
今回は、改正された刑法の「拘禁刑」と「厳罰化された侮辱罪」について解説していきました!
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